亮と覚は二人でバーで語っていた。
「これからの時代はどう変わっていくんだろうね?」
二人とも帝大出身で起業家としてお互い活躍している。学生からの友人でもありライバルでもあり、お互いの近況報告や仕事での情報交換などあって、こうしてたまに飲んだりしている。
「AIの進化もすごいことになってるし、僕たちの存在すらこれからどうなるのか分からなくなってきたよな!」
亮はそういって笑いながらウィスキーを傾けた。
「関係ないけどそういえば最近ノマさんやゾコさん、エムさんの姿みないけど元気かなぁ?」
覚はそうつぶやいた。
実は二人とも彼らと同じトークンコミュニティにこっそりと属していて、それぞれRyotoroとワーパパという名前で活動している。
「そうだなー、あーいったコミュニティのような場所に実はこれからの答えのようなもののひとつが転がっているのかも知れないな。」
亮は考えるようにそう応えた。
「あれ?ユノートルさんからDMが届いてる。(久しぶりですがちょっとお手伝いを)・・・って!」
覚がそう言うと、亮にも同じ内容のDMが届いているのを気づいて
「おー、僕にも届いてるよ・・・あの頃を思い出すなー。これからの時代を考えるのにもきっと役に立ちそうだから一緒にお手伝いしてみるか?」
「僕もちょっと思い出したりしてたんだよ。そして3人ももしかしたらあそこにいるのかも知れないしね。笑」
そう言って二人はなにやら楽しげに昔を思い出しながら、乾杯をした。
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「お待たせー!」
えりすはカウンターで先に入っていた香に元気よく声をかけ隣に座った。
「相変わらず元気ね、えりす。呼び出しちゃってごめんね。何飲む?」
えりすはカクテルを頼みながら、香の話を聞き始めた。
「私、独立しようかなーって思っていて」
香は洋服のデザイナーをやっていて、最近はけっこう人気にもなっている。
「んー、いいんじゃない?香のデザイン最近けっこう街でよく見るよー!」
屈託ない笑顔でえりすはそう返すと、目の前に出されたモヒートを美味しそうに飲み始めた。
一見興味なさそうに見えるえりすなのだが、直感型の彼女は本心からそう答えているし、昔からの友達の香もそれは分かっている。
「独立したいのはね、洋服のデザイナーとしてじゃないの。いや、洋服のデザインもやるとは思うんだけど、東北の実家に戻ってその近くでお店を始めたいなぁって思って発酵なんかにも興味があって、カフェかな?そして雑貨屋さんも?ちょっと洋服以外の可能性や、地方での暮らしにも興味がでてきてさ。」
香は都会の一線で活躍している自分にどこか疑問を感じ始めていた。裏表のないえりすに自分のありのままを聞いてもらいたいと思っていた。
「別にどっちの香も私は好きだし、独立して始めるそういった活動もかっこいいと思うけど。何かきっかけがあったの?」
「んー、ちょっと気になる人がいて・・」
「えー!なになに?どんな人なの?何やってる人なの?」
屈託なく聞くえりすに
「いや、男じゃなくて女の子・・・一緒の会社にいる子がなんかまっすぐ生きててねー。ちょっと考えさせらちゃってさ。」
「なんだー!つまんなーい。ふーん、でも、香がそう思ってるのならもうきっと歩き出すんだよね。せっかくならコミュニティのみんなに聞いてみたら?」
実はえりすも香もコミュニティに所属していて、エリスとカオリという名前で活動している。
「香がデザイナーのKaori KAWASHIMAなんで誰も知らないし、みんなまっすぐな人だし、きっと応援してくれるんじゃない?」
えりすはそう言ってスマホを見ると、DMが届いているのに気づいた。
「んー、ユノートルさんから・・・(久しぶりですがちょっとお手伝いを)って!」
「あ、あたしにも届いてる!」
香はそうつぶやいて、えりすと目配せをした。
「久しぶりだね!」
そう言って二人はなにやら楽しげに昔を思い出しながら、乾杯をした。