ノマはトーヤと一緒に魔法呪文の修行を始めていた。
トーヤは人間世界では20歳いくかいかないかくらいの若者で、自分とはひと回りほど違うくらいで年の離れた兄弟のような関係なのだが・・・。
彼と一緒に修行をしながら過ごす日々は、まるで冬弥と一緒にバンドで音楽を練習していたようなあの日を思い出すようだった。トーヤもその姿だけでなく性格も冬弥そのもので、彼と一緒の時間はあの時の続きをしているような、そんな時間でもあった。ノマは自分の妄想が生み出したと思っているこの世界を、何か自分にとって必要な、そんな時間なのかもなぁと感じながら風の谷の物語を歩み始めていた。
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シニゾコの剣の修行のパートナーは・・・なぜかパンダだった!しかも可愛らしい声の。笑
「ゾコさん、さぁ、どんどんいきまちゅよー!」
「カンッ!キンッ!シャキーンッ!!」
「まったく熊の次はパンダで剣の達人って。なんのゲーム設定だよ!?しかも女子キャラって?」
シニゾコはぶつくさ言いながらも師匠(?)のパンダと剣の修行に励んでいながら、テレビ局のAD、そしてディレクター時代を思い出していた。
「荒唐無稽な風の谷の物語だけど、あの時のテレビの中の世界も、まー似たようなものだったのかもなぁ。」
自分の前で起こっている不思議でバラエティ溢れる出来事に、シニゾコはなんだかあの頃のメラメラと燃え上がる情熱のようなものを取り戻し始めていた。
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「ごめんなさい、問題児で・・・」
エムはマンツーマンで教えてくれているユノートルにそう言って、うなだれていた。
「いやいや、エムさんの才能はここにいる誰よりもすごいんですよ!だから上手く使いこなせないだけなんです。」
ユノートルはそう言ってエムの隣に座った。
「エムさんの防御魔法は誰かを救うためにあります。そしてもうひとつの幻影の能力は自分自身を守るためでもあります。今までのエムさんの生き方はきっと誰かのためにあったと思います。それは風の谷では防御魔法という能力に変わり、自分の存在を消した生き方は幻影という魔法になりました。」
ユノートルはエムに向かって話し始めた。
「この風の谷ではエムさんは自分のために生きてもらいたいんですよ!なぜならこの物語の主人公はエムさんなんですから・・・」
え!?主人公が私?エムは何がなんだか分からないまま、ユノートルの話の続きに耳を傾けていった。
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「さぁ!みなさん、いよいよトークンを取り戻しにいきますよー!」
修行を始めてからどのくらいたったのだろう?
ノマはトーヤとの毎日を、シニゾコはパンダとの修行を、そしてエムは自分自身との向き合いを、3人ともそれぞれの日々を過ごし彼らは冒険の旅へと歩み始めた。